近年,企業経営におけるグローバル化がますます進行するなかで,普遍主義的価値観と文化主義的価値観の対立が大きな問題となっている。こうした対立を乗り越えるには,各地域に存在する多様な価値観に配慮した企業経営の「行動規準」を考える必要がある。本稿ではこうした「行動規準」を,多様な価値観に「共有された規範」と呼び,この形成と確立の可能性を認知主義アプローチと承認論の概念から考察する。それに基づき,企業経営における「共有された規範」が対話・会話や討議によるコミュニケーション活動を通じて形成されることを明らかにする。そして経営学・組織論における組織(企業経営)現象をコミュニケーション活動の反復的パターン(コミュニケーション共同体)と理解し,言説的実践を主とするコミュニケーション活動の分析(ディスコース分析)の重要性を強調する。