近年,日本において少子高齢化に伴い若年労働力人口が減少している。その中で,新卒者の就職状況は依然として厳しいものとなっている。このような状況が生じる背景には,若年層を取り巻く環境の変化など様々な要因があることが推察される。他方,若年層側では高卒後に就職する者が減少し,大卒後の就職が一般化している。このような状態が継続するならば,今後は大卒者の正規就業が困難となる可能性がある。さらに,若年層全体でも非正規雇用比率は依然として高いことから,若年非正規雇用者及び無業者の増加は若年層のみならず経済的損失を引き起こす怖れがある。これらの問題を踏まえた上で本論文は,新規大卒者が進路を決定する際の要因について,需要サイド及び供給サイドから検討することを目的としている。その際,若年層のうち新規大卒者に焦点を当て,進路決定要因として労働力需要指標,家庭環境及び個人の素質に関する指標も加えた上で分析する。