經營學論集
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第85集 日本的ものづくり経営パラダイムを超えて
選択された号の論文の93件中1~50を表示しています
統一論題〈日本的ものづくり経営パラダイムを超えて〉
サブテーマ① 再生の時代の経営者
サブテーマ② 日本型ものづくり経営の再生
サブテーマ③ ソーシャル・ビジネスの経営探究
自由論題
  • ──『ひと・まち・ものづくりの経済学』を超えて──
    十名 直喜
    p. F1-1-F1-11
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
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    わが産業研究およびそれを総括した十名(2012)『ひと・まち・ものづくりの経済学』は,第88回大会の統一論題・サブテーマとも深く関わる。小論は,拙著のポイントや基本視点などをコンパクトに示すとともに,出版後の研究もふまえ捉え直す。さらに,統一論題②基調報告3本についての論点を提示するとともに,拙著に対する数本の書評から浮かび上がる論点と課題を取り上げ,その克服に向けての新たなアプローチを紹介する。

  • ──在ベトナム拠点の事例から──
    髙橋 俊一
    p. F2-1-F2-9
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
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    本稿では,日本中小企業の,新興国の海外拠点での知識共有の事例を通じて「企業内国際知識移転」における困難性要因を探索するものである。従来の知識移転あるいは知識共有に関連した研究が対象としてきた大企業と,移転能力が相対的に乏しい中小企業では,知識移転および共有における困難性要因に何らかの特徴があるのではないか,と仮定する。そこで本稿は,特に日本の中小企業が,ベトナムにおける海外拠点で知識をどのように移転および共有させているのか,また拠点においてどのような困難性に直面しているのかといった事例を収集し分析することで,それら特有の知識移転および共有の困難性要因を探索する。事例研究の結果として,第一に,経営資源の制約,第二にインフォーマルな知識共有に依存する程度が,それらによる知識移転の困難性要因であることを提示する。

  • 井形 元彦, 桂 信太郎
    p. F3-1-F3-3
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
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    農林水産省(2014)にて,「『攻めの農林水産業』の展開に当たっては,これまでの農業界の取り組みの枠にとらわれず,他産業の知識やノウハウも活用した新しい発想が必要であることから,これまで以上に農業界と経済界が,農業の生産・流通・経営管理等の各方面で連携した取り組みを進めることが重要です」と述べている。本稿では,農業ビジネスを対象にビジネスの構造を明らかにし,それを踏まえて方向付けするアプローチ,および製造業の生産管理技術を農業に写像する試案を提案し考察を加える。

  • 羽田 明浩
    p. F4-1-F4-10
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
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    本研究は,経営戦略論を背景とした企業分析手法を活用した銀行信用調査の発展可能性を考察するものである。先行研究の理論考察の結果,銀行の信用調査において,ポジショニング・アプローチと資源ベース・アプローチが重視する概念も融資判断項目として採りいれていることを検証した。銀行の融資取り上げ方針は,過去の担保偏重主義の反省から,融資対象企業の事業内容,当該企業の優位性の検証とキャッシュフロー状況の検証を重視した資金の返済可能性を検証する融資方針に移行している。そこでこれからの銀行の信用調査において,経営戦略論を背景とした企業分析手法を活用した調査の発展可能性が期待可能である。例えば,業界動向の分析において5 Forcesの活用による検証,また内部経営資源や組織能力の分析のVRIO分析などの手法を活用するも期待できる。

  • 竹野 忠弘
    p. F5-1-F5-10
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
    会議録・要旨集 フリー

    マシニングセンタ工作機械日系メーカーにおける,原価低減を当初の目的に提起された「内製化」戦略を検討する。すなわち,本業部門である組立工程の改善・革新に加えて展開された,前方の調達部品の製造事業および後方の保守サービス・販売事業の「内製化」による取引原価の改善を目的とした戦略が,内製化後の技術蓄積を通じて新機能部品開発へと展開し,さらにこの開発新機能部品を介して業種内国際提携という同業種にとっては革新的な経営が構築されていった事例を検討する。それによって,取引原価低減という視点から「外注」が製造業においても志向されがちな経営戦略動向に対して,反対に内製化する,内部化することによる経営戦略の意義を確認する。

  • 松尾 知也
    p. F6-1-F6-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
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    セル生産方式の導入は多くの生産現場の労働生産性を向上させた。しかし,セル生産方式の定着後,労働生産性の伸び悩みや低下という状況に直面した生産現場は少なくない。その一方で,ソニーやキヤノンなど継続的に労働生産性を向上させてきた生産現場がある。これらの生産現場の共通の特徴はムダとりの思想をもとにセル生産方式を進化させていることにある。ムダとりの視点からセル生産方式と労働生産性の因果関係を検討した結果,継続的な労働生産性の向上に着目するセル生産方式の研究の今後の論点として,①1セル当たりの編成人数の削減を実現する仕組みや制度,②動作のムダを排除できる仕組みや制度,③改善能力の高い作業者を育成する仕組みや制度を指摘することができた。

  • 坂本 義和
    p. F7-1-F7-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
    会議録・要旨集 フリー

    組織能力をいかに構築するかとの観点において,G. Schreyögg and M. Kliesch-Eberlのケイパビリティのデュアルプロセスを参考とし,その議論が十分に触れていない組織全体によるモニタリングの実施方法について検討を行う。

  • ──組織社会化概念を利用して──
    柴田 聡, 玉井 由樹
    p. F8-1-F8-3
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
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    本稿は,企業家活動を組織や企業レベルで捉える概念である企業家的志向性(EO)に関する研究が組織全体の志向性を経営者の認知で捉え,両者を同一視する問題を検討するものである。本研究では,上記問題を緩和するため,EOを経営者の認知だけで捉えるのではなく,組織レベル(EO),経営者レベル(経営者EO),従業員レベル(従業員EO)の3つ階層で捉え,組織レベルのEOとは従業員が経営者EOを学習することで,組織としてのEOに対して同一化していくプロセスと捉え,そのプロセスを組織社会化の概念を利用して解明する。さらに,従業員EOを変化させる要因を明らかにし,組織全体でのEOのコントロール方法について検討した。

  • 福井 直人
    p. F9-1-F9-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
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    本報告の目的は,近年のアメリカにおける人的資源管理制度のなかで注目を集め始めている「パフォーマンス・マネジメント(以下PMと略)」について理論的な考察を行い,その人的資源管理論的意義を探究することである。本報告では,まずPAとPAの各概念間の関係について理論的に考察を行った。PMは評価の継続性,人材育成との連関重視,戦略志向,組織パフォーマンスの向上が至上目的であることなど,PAとは異なる概念であることが明らかにされた。そのうえで,PMのHRMにおける位置づけを,PMの類似概念であるSHRMと比較検討しながら確認した。PMの導入により,PAを機軸として,経営戦略とHRMシステム全体およびHRM諸制度間の整合性を高めることで,組織パフォーマンスの向上をもたらしうることを指摘した。

  • 澤田 浩二
    p. F10-1-F10-9
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
    会議録・要旨集 フリー

    チャンドラーは,2000年以降に刊行したハイテク産業の経営史についての著作では,新たな視点で現代企業について論述している。現代企業の組織能力についての見解を発展させたり,大企業の事業活動を支える企業群について支援的ネクサスという用語を用いて言及し,支援的ネクサスを構成する企業群のネットワーク全体を視野に入れて大企業の事業活動を理解する必要性を指摘している。

     しかしながらチャンドラーは,外部の企業,機関の知識や能力を積極的に活用するオープン・イノベーションの視点を取り入れて経営史を論述することはなかった。中核企業の組織能力には外部の企業,機関の知識や能力を調整していく機能が不可欠なものになっている。また高度な情報通信技術の進歩によって事業活動の内部化と外部化の両方の費用が低下する中で,ネットワーク型組織の優位性が高まり,その実証研究を通じて現在「ポスト・チャンドラーモデル」が模索されていると言えよう。

  • ──アンケート調査を用いた分析──
    坂和 秀晃, 佐々木 均, 棚橋 則子
    p. F12-1-F12-10
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
    会議録・要旨集 フリー

    本論文は,金融業における相互扶助を目的とした協同経営組織である信用金庫の経営実態について,企業統治を中心とした観点から株式会社との相違点・国際進出の実態といった点に注目を行った調査研究である。このような実態を明らかにするために,2013年11月時点の我が国の全信用金庫に対する郵送アンケートを実施して,調査を行った。郵送アンケートの結果,2013年11月時点における全268信用金庫中98金庫からの回答を得られたので,その調査項目を抽出した分析を行った。第一に,信用金庫が株式会社に置いて最も重視されるステークホルダーである出資者(株主)よりも,取引先企業を重視していることが明らかになった。第二に,信用金庫の最終的な経営に関する意思決定が行われる総代会の総代の選任においても,出資金の多寡よりも,営業地域の地域貢献を重視していることが明らかになった。最後に,信用金庫の国際進出は限定的な動きに留まる現状が明らかになった。

  • ──日本半導体産業の衰退を踏まえて──
    上田 智久
    p. F13-1-F13-10
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
    会議録・要旨集 フリー

    日本半導体産業に関する研究は,これまで多く蓄積されてきた。その研究の大半は,1980年代後半~1990年代に集中している。この期間は,DRAM市場において日本が世界を席巻した時代であるとともに,また同市場にて韓国の台頭が目立った時期でもある。そのため,日本半導体産業の盛衰要因に焦点を当てた研究が盛んに行われてきたのである。そして,この期における研究の共通点を見ると,「製造装置企業」の存在を指摘することができる。製造装置企業の重要性を強調した研究は多いものの,それらが半導体製造に果たす役割・実態にまで踏み込んだものは非常に少ない。さらに2000年代に入ってもなお,製造装置企業は重視されているにもかかわらず,その詳細な研究は皆無に等しい状況である。そこで本稿では,半導体製造における製造装置企業の役割・実態について考察を行っている。

  • ──高度成長期・安定成長期を中心に──
    池元 有一
    p. F14-1-F14-10
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
    会議録・要旨集 フリー

    日本の汎用コンピュータ産業は,米国から10年遅れてスタートしたが,1980年代には,世界第2位の地位を占めた。その理由は,急成長した国内市場を獲得し,早期にユーザー基盤(初期需要)を確保したためであった。IBMとの競争を展開しながら,ユーザーを得るために国産コンピュータメーカーは,(1)IBM と競合しない小型機(廉価機)で初期のユーザーを開拓し,(2)多角化した重電・通信機メーカーである点を生かし(範囲の経済),電力業に制御用コンピュータ,銀行にオンラインコンピュータを納入し,(3)重電・通信機メーカーとして培ったユーザーとの共同開発のノウハウをコンピュータ・システム開発に利用した。

  • 古井 仁
    p. F15-1-F15-10
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
    会議録・要旨集 フリー

    今日,先進国の多国籍企業は,新興国市場攻略に向けた現地化に取り組んでいる。拡大しながら多様化する需要を取り込む現地化は収益向上効果(適応による利益)を引出せるが,他方で規模経済性が犠牲になりコストアップ要因となる。本稿は,ゲマワットの適応ツールに基づいて製品の多様化と低コスト化の両立問題を議論し,新興国での拡販を強める自動車メーカーが今日導入する車両設計方法の有効性と可能性を考察している。

  • 荒井 将志
    p. F16-1-F16-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
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    本研究は,企業間の協調的な国際業界標準化活動の研究をさらに発展させ,グローバルなビジネス・エコシステムにおける多国籍企業と新興国における国際的業際標準化活動について論じる。近年,モジュール化と技術の複雑化によって国際的な分業関係が強まり,多国籍企業は,とりわけ新興国企業との水平的な強い協力的補完関係を構築している。すなわちグローバル・バリュー・チェーンである。しかし,近年の標準化に関する研究では,技術的な標準の策定方法と競争優位が議論の中心となっており,多国籍企業論的な視点から標準の役割について議論されたものは多くない。そこで,本研究では,先進国多国籍企業と新興国企業によるリードタイムの短縮化と規模の経済性または範囲の経済性の実現のために業際標準化,すなわちグローバル・ビジネス・エコシステムという視点から検討したい。また,今日の経営環境は不確実性が高く,変化の大きい中で,ビジネス・エコシステムは静態的ではなく動態的に分析・考察を試みなければならない。

  • ──京都・近江屋ロープ株式会社の事例研究──
    落合 康裕
    p. F17-1-F17-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
    会議録・要旨集 フリー
  • ──酒蔵の事例から──
    堀 圭介
    p. F18-1-F18-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
    会議録・要旨集 フリー
  • ──企業内企業家精神を取り巻くステークホルダーの複声性──
    福原 康司
    p. F19-1-F19-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
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  • ──1995年から2005年を中心に──
    岡村 龍輝
    p. F21-1-F21-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
    会議録・要旨集 フリー

    本報告の課題は,1990年代末から2000年代半ばにおけるソニーの業績低迷の原因を,組織構造の観点から明らかにすることである。1994年,ソニーは日本で初めてカンパニー制を導入し,1999年にはカンパニー制を強化した「ネットワーク・カンパニー(NC)制」を採用しているが,1990年代末からソニーの業績が低迷し始め,2005年にはカンパニー制を廃止している。ソニーにおけるこうした組織構造の転換の背景には,いかなる問題があったのであろうか。本報告では,この問題について組織編成の基本原理の観点から検討し,①関連型多角化をしているソニーのエレクトロニクス部門では部門の切り分けが困難であったこと,② EVA を導入するとともに個人業績と連動させたことによってNC間の調整を困難にさせたこと,および③グループ本社が投資家的な機能に特化したため,NC間の調整が困難であったことを明らかにしている。

  • ──成熟・衰退期への適合が再成長の桎梏へと変化するメカニズム──
    加藤 寛之
    p. F22-1-F22-12
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
    会議録・要旨集 フリー

    造船産業では構造不況期と呼ばれた成熟期・衰退期を20年近く経た後に再び爆発的な成長期への再突入が生じたが,再び訪れた成長機会を当時もっとも資源蓄積に優れた大手企業はことごとく逃した。収益機会を逃した背景には成熟期・衰退期への戦略的適合がある。具体的には,①船価維持を狙った選別受注戦略(高付加価値船と良質な国内顧客に集中),②衰退期に適合的な収穫戦略(設備投資を回避し,過剰生産能力を縮小して船価維持),③多角化戦略(資源蓄積に優れる大手は積極的に陸上部門に多角化)の3つの戦略をとっていた。戦略の成功はことごとく裏目にでて,成熟期・衰退期への適合は成長期への逆突入の際に桎梏に変化した。①選別受注戦略の結果,国内顧客に集中し成長市場の顧客に目が行かなかった。②収穫戦略の結果,新規需要をとりこむ生産能力を失った。③多角化戦略の結果,造船部門の発言力が低下し設備投資による生産能力拡張が出来なかった。

  • ──食品表示等問題の検証──
    水村 典弘
    p. F23-1-F23-10
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
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    企業倫理の基盤となる制度の実効性を高めるためには,意図せぬ不正に走る人の心理現象と心理プロセスを分析して,倫理諸制度の基本設計や運用の一部に修正パッチを当てるか,さもなければ制度の全体を抜本的に見直す必要がある。では,なぜ人は無自覚的に不正を働き,時として悪事に手を染めるのか。現場で起きた「倫理の失敗」の数々を検証し,組織人の意図せぬ不正とその背後要因にスポットライトを当てて概括的な整理を試みたのが「行動ビジネス倫理」である。本稿は,ビジネス倫理学の領域で推奨される「倫理的な意思決定に向けたフレームワーク」とその脆弱性に焦点を当てた「行動ビジネス倫理」の分析視覚を明らかにしたうえで,2013年10月に株式会社阪急阪神ホテルズで発覚したメニュー表示問題の詳細について,関連省庁や「阪急阪神ホテルズにおけるメニュー表示の適正化に関する第三者委員会」が公表した調査報告書をもとに検証する。

  • ──過労自殺との関係から──
    岩田 一哲
    p. F24-1-F24-3
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
    会議録・要旨集 フリー

    中間管理職のストレスを導く要因を過労自殺との関係から検討するため,アンケート調査を行った。結果として第一に,メランコリック親和型性格は,遠慮のみでうつ反応に有意な説明因となった。第二に,協力の必要性は,直接うつ反応に影響を及ぼす訳ではないが,役割葛藤,役割曖昧性を経由してうつ反応の間接的に有意な説明因となった。第三に,役割曖昧性,役割葛藤の影響はほとんどの職位でうつ反応の説明因になったが,仕事負荷の影響は,主任のみで有意な説明因であった。第四に,月平均残業時間は,主任のみでストレス反応に対して有意な説明因となった。共分散構造分析の結果では,協力の必要性が間接的に大きな影響力を持っていた。

  • ──自発的協働の諸相解明──
    西村 友幸
    p. F25-1-F25-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
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    集合行為論と持ち帰り理論は,自発的協働の意欲を引き出すための誘因に関して,一瞥したかぎりでは違った含意を持っている。前者は集団の規模を,後者は環境の潤沢さを,それぞれ重大なコンティンジェンシーと見なしていると解釈したうえで,2つの理論の予測力が試される。

  • ──コーリングとキャリア関連変数との関係性およびタイプ分けの試み──
    柏木 仁
    p. F26-1-F26-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
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  • 川島 秀明
    p. F27-1-F27-8
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
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    本報告は,企業間のアライアンス(提携関係)の研究に今後求められる分析の視点を提示することが目的である。今後のアライアンス研究では,各企業が構築したアライアンスに求めている便益の特定および実際のアライアンスの継続期間の調査と分類を行うことが必要である。これにより,企業や産業別にアライアンスの目的を特徴づけることが可能となる。また,アライアンスの成否や安定性については長期的関係の維持が前提とされてきたが,必要なアライアンスの継続期間は,各企業や産業あるいはアライアンスの目的によって異なるということを明らかにすることができる。本稿ではまず,これまでのアライアンス研究の流れを整理し,その時々における主要なテーマを示す。続いて今後のアライアンス研究に求められる分析の視点についてその意義と共に述べていく。

  • 金綱 基志
    p. F28-1-F28-3
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
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    企業間関係において信頼を形成することが,学習や知識伝達,企業のパフォーマンスに影響を与えることに注目が集められてきた(Dyer and Chu 2003)。また,こうした信頼は,協調的行動によって形成されることも明らかにされてきた(Dyer and Chu 2000, 2011;Dyer and Nobeoka 2000)。これらの研究は,主として工場を対象とした製造現場での信頼形成に焦点を当てている。本報告では,研究開発プロセスで,どのような企業間の協調的行動がとられているのか,そしてその協調的行動と信頼形成に相互関係があるのか,製造現場と研究開発プロセスでの信頼は同様のプロセスで形成されるのかどうかを,企業間の協調的行動が頻繁に行われている自動車産業を事例にしながら明らかにすることを目的としていく。

  • 濱田 知美
    p. F29-1-F29-8
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
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    既存企業が新製品市場で競争優位性を維持できる条件,新規参入企業に対して持ちうる競争優位,それを活用した製品の設計及び生産工程の特徴にはどのようなものがあるのか。本研究では,イメージング産業における三つの製品及び各市場特性の比較分析を行う。各製品の部品構造及び生産上の特徴と,市場の特徴との関係を明らかにするため,各企業の主要特許等から部品構造の情報を抽出し,定性分析を行った。また企業の技術力と市場成果との関係を明らかにするため,日本企業11 社の特許情報を用いて定量分析を行った。その結果,製品設計上異なる領域の技術を各々応用したモジュールが相互作用するような特徴がある製品は,結果的に市場に生存する企業は減少し,市場の企業集中度指数は比較的高く,また技術発展の進行速度は遅くなる。またそのような製品市場では,両方の技術知識を過去の事業経験で蓄積している企業は市場成果が高く,そうでない企業は低かった。

  • ──大阪ガスの事例──
    中園 宏幸
    p. F30-1-F30-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
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    本稿の目的は,なぜ大阪ガスはオープン・イノベーションを遂行することができたのかを明らかにすることである。本稿では,オープン・イノベーションの遂行を担った松本毅の役割とオープン・イノベーション室に着目する分析を行った。その結果,次の4点が明らかにされた。①技術探索組織と技術活用組織は,上位組織によって戦略的に技術探索組織寄りの調整が行われていた,②技術探索組織は,アライアンス・パートナーを開拓することによって,外部技術の探索に必要な能力を蓄積していた,③技術活用組織は,技術探索組織による定期的なコミュニケーションによって技術探索組織への信頼を高め,必要な技術ニーズを開示していた,④技術探索組織と技術活用組織が相互作用を果たすことにより,技術活用組織のオープン・イノベーションに対する内発的動機づけを引き出したことである。

  • 堀口 朋亨
    p. F31-1-F31-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
    会議録・要旨集 フリー

    近年,我が国においてもBOPビジネスの重要性の認識が深まってきた。研究面では,水尾,菅原,林,安室,岡田,高岡などが積極的に論考を発表し,注目を浴びているが,企業の実践面では,残念ながら,欧米企業と比して出遅れていると言わざるを得ない現状である。しかしながら,内外企業によるBOPビジネスの実践やその研究が蓄積されるにつれ,本ビジネスにおける可能性と問題点の双方が明らかになりつつある。大会発表では,徐々に始動しつつある日本企業の活動事例に対して検証を行った。

  • ──バリア・ブンタウ省の日系中小企業対象の産業集積を事例として──
    税所 哲郎
    p. F32-1-F32-11
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
    会議録・要旨集 フリー

    ベトナムでは,産業クラスター戦略の推進として,国内各地で工業団地やハイテクパーク等の産業集積を展開している。

     従来の戦略では,大企業誘致による産業集積を行い関連の諸施設・諸機関を設けて,雇用創出と製品輸出等によって,地域の経済成長を図ってきた。これまでは,主に量産・メイン工場としての機能を有する大企業を対象とした産業集積が多く,その経済波及効果の大きさを目指したものであった。

     しかし,最近の戦略では,日系中小企業が保有する独自の技術やプロセス,及び生産工程の改善,創意工夫を期待した企業誘致が見受けられる。加えて,日系中小企業誘致による国内の裾野産業を育てて,国内の技術向上を推進し,技術立国を目指す狙いもある。

     本稿では,ベトナムにおける新しい産業クラスター戦略として,バリア・ブンタウ省の日系中小企業を対象のダバク日本企業専用工業団地を事例に,その取り組みの経緯と現状,課題を考察した。

  • ──薬剤師を対象としたアンケート調査より──
    本間 利通, 三島 重顕
    p. F34-1-F34-8
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
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    本稿は,調剤薬局局長を対象としたアンケート調査結果の報告を通じて,存続的コミットメントが引き出す組織行動の検討を目的とする。本稿では,組織コミットメントの要素のうち,特に存続的要素に着目し,調剤薬局に勤務する薬剤師の特殊性を考慮に入れた上で,存続的コミットメントが引き出す組織行動について検討した。現在のところ,薬剤師の存続的コミットメントを高めるような環境要因は少ないが,今後は変化していくことが十分に考えられる。したがって,存続的コミットメントが低いと考えられる現在の状況における組織行動を検討した。先行研究及び調査結果からは,存続的なコミットメントの高さがある一定の組織行動に関連する示唆を得ることができた。その上で,存続的コミットメントに焦点を当てる意義について検討した。

  • 奥井 秀樹
    p. F35-1-F35-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
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    成員の組織への自発的な貢献行動を表す概念である組織市民行動に関する既存研究には,研究関心の固定化をはじめとして,いくつかの問題点を指摘することができる。本報告では,これまでの組織市民行動に関する主要な研究を整理・検討し,今後より実りの多い組織市民行動研究を行っていくためには,文化が組織市民行動に及ぼす影響についての研究により一層力点を置く必要性があること,その中でも,従来ほとんど議論が行われてこなかった「文化によって組織市民行動の発生メカニズムがどのようにちがってくるのか」というテーマについて研究を行っていくべきであるとの見解を提示する。

  • 志賀 敏宏
    p. F36-1-F36-3
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
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    セレンディピティと言われるイノベーションが存在する。偶然と必然がどのように作用するのだろうか。必然(意図的活動)によってセレンディピティを操作可能化する余地はあるのだろうか。事例研究を通じた「転換代行」モデルを考え,これらの解明を試みる。

  • ──「価値次元の見えない」イノベーションを創出する論理の探究──
    森 俊也
    p. F37-1-F37-11
    発行日: 2015年
    公開日: 2019/09/25
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    成熟期の企業の多くは,幾つかの理由から「価値次元の見える」イノベーションを創出してしまい,結果として,顧客価値の創造や,ライバルへの競争優位,従業員のやりがいの醸成に対して充分に寄与してきたとは言い難い状況にある。つまり,これら企業において,関係者に対する価値や意味を考えると「価値次元の見えない」イノベーションの創出が重要となるが,これにかかる理論は,同イノベーションを創出する論理の解明にまでは至っていない。そこで本稿では,この論理を探究すべく,「思い(顧客にして欲しい思い)」を基礎にした新たな経営の枠組みと,それによるイノベーション創出の過程について提起する。また,この枠組みにより,これまで価値次元の見えるものを展開してきた企業においていかなるイノベーションが創出されうるのかを試論する。これらの考察の上に立って,「思いの経営」によりイノベーションを創出することの意味等について考察する。

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