ベトナムでは,産業クラスター戦略の推進として,国内各地で工業団地やハイテクパーク等の産業集積を展開している。
従来の戦略では,大企業誘致による産業集積を行い関連の諸施設・諸機関を設けて,雇用創出と製品輸出等によって,地域の経済成長を図ってきた。これまでは,主に量産・メイン工場としての機能を有する大企業を対象とした産業集積が多く,その経済波及効果の大きさを目指したものであった。
しかし,最近の戦略では,日系中小企業が保有する独自の技術やプロセス,及び生産工程の改善,創意工夫を期待した企業誘致が見受けられる。加えて,日系中小企業誘致による国内の裾野産業を育てて,国内の技術向上を推進し,技術立国を目指す狙いもある。
本稿では,ベトナムにおける新しい産業クラスター戦略として,バリア・ブンタウ省の日系中小企業を対象のダバク日本企業専用工業団地を事例に,その取り組みの経緯と現状,課題を考察した。
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