本稿では,意匠データと特許データを用いて,シャープ株式会社での 15年間 (1998~2012年)にわたるデザイナーの技術開発への関与の変遷と,デザイナーのローテーションの変遷を明らかにした。その結果,同社では,当該期間において,企業単位・事業本部単位・製品単位のいずれを見ても,デザイナーによる技術開発への関与度に明確な増減傾向は見られなかった。ただし,製品単位で見た場合,特定の時点において,デザイナーの技術開発への関与度が急速に高まることがあり,技術革新がそれに影響を与えている可能性が窺えた。一方,ローテーションに注目すると,同社では,少数の優秀な人材に事業本部をまたがせる一方で,それ以外の大多数には事業本部内での移動を活発に行わせていた。また,事業本部をまたいだ移動は減少傾向にあり,デザイン組織の地位がそれに影響を与えている可能性が窺えた。さらに,事業本部内の移動でも,製品の開発頻度やサイズ,専門性の高さなどが影響を与えている可能性が窺えた。