經營學論集
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第89集 日本的経営の現在─日本的経営の何を残し,何を変えるか─
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サブテーマ① 日本的経営とは何だったのか?
日本型経営とその変化
──企業文化の層から考える──
*佐藤 和
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p. 29-37

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抄録

企業文化を層として考えるハイブリッド・モデルで見ると,日本型経営とその変化は,国の文化とその変化に伴う問題として考えることができる。最も変わりにくい基層文化は宗教的,歴史的に定着している集団主義であり,これにより終身雇用制度の考えや実態が根強く残っている。一方,権力格差の次元である垂直的な側面は,戦後教育の変化と世代交代により,水平的に変化しつつある。そこでは従来のピラミッド構造ではなく,価値観の共有による組織統合がより有効となり,また年功序列制から能力主義評価への変化がもたらされている。表層的な文化である会社を共同体と考える信頼メカニズムは,いわゆるタコツボ型の問題を引き起こすが,ダイバーシティを進めるためにも,従業員に会社以外の共同体への参加を促すと同時に,経営理念の浸透による価値共有を進める事が必要である。また垂直的な組織ほどコンプライアンスに問題がある傾向が見られ,価値共有型の企業倫理の制度化が不十分であると不祥事が起こるのであり,そこでは企業文化変革が必要とされよう。

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© 2019 日本経営学会
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