日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌
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フリーストール牛舎における活動量の頻回収集による乳牛の発情発見法
高橋 圭二大滝 忠利
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2008 年 44 巻 3 号 p. 201-207

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抄録

牛群の繁殖成績を向上させるためには発情発見率を高め適期での授精が不可欠である。本発情発見システムは,牛舎内の横断通路等に活動量データ収集用のアンテナを設置し,乳牛がこの上を通過する毎に活動量を収集する方式である。フリーストール牛舎における試験では,供試牛延べ47頭のうち44頭で活動量が増加し,このうち正常発情牛は41頭であった。各乳牛の積算活動量は直線的に変化し,マウンティングおよびスタンディングの発情行動出現時には急激に増加した。発情行動終了後はもとの直線の傾きで変化した。1時間あたりの平均活動量は,非発情時で5.2カウント/hで発情時に23.0カウント/hとなり,非発情時の4.4倍となった。活動量の増加出現時間は平均約12.7時間で,スタンディングおよび,マウンティングはこの時間内でみられた。排卵は活動量の増加から平均で28.5時間後に発生した。これらのことから,頻回収集システムでは発情行動出現にともなう活動量の増加をほぼ確定でき,授精適期は活動量の増加開始から4〜24時間の範囲となった。さらに,1時間あたりの活動量の変化には日変化はなく,発情行動出現時と非発情時とを明確に区分できる閾値の設定が可能であることが明らかとなった。この発情発見システムを用いて,搾乳ロボット牛舎において発情発見状況を検討したところ,発情検出率(発情牛のうち何%検出できたか)は91.4%で,発情発見精度(発情と判定したうち,何%の牛が真の発情であったか)は83.5%と非常に高いシステムであった。

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