2017 年 53 巻 3 号 p. 91-97
本研究では、双方向移動方式(フリーカウトラフィック)を採用した酪農場における乳牛群の自動搾乳機への進入パターンを個体別に調べるとともに、搾乳の規則性について乳牛個体ごとに検討した。双方向移動方式を採用した51頭の乳牛を、自動搾乳システムで飼養した酪農場における7日間のデータを解析に用いた(進入3,522回)。搾乳の規則性は、搾乳間隔期時間の変動係数により評価した。1日当たりの自動搾乳機への進入回数の増加により、搾乳間隔期時間は短縮した。搾乳間隔期の前半期での進入が少なく、最終四半期に多いパターンを持つ個体は、他のパターンの個体に比べ、搾乳間隔期時間が短く、搾乳の規則性が高かった。このことは、自動搾乳機への頻繁な進入と、搾乳許可を受ける時刻直前の活発化が、自動搾乳システムにおける搾乳回数の増加と規則性の向上に必要であることを示している。