抄録
わが国の慣行防除下にある果樹園では,近年,優占するカブリダニ種が変わってきた.その原因を探る過程で,「使用された化学薬剤の変遷とそれらへの薬剤感受性の違いがカブリダニ優占種の変化をもたらした」との仮説をたてた.そこで,従来からの優占種であったケナガカブリダニと近年急速に個体数を増やしているミヤコカブリダニの,慣行的に使用されてきた薬剤22 種(殺虫剤6 種,殺ダニ剤16 種)に対する薬剤感受性を検定した.その結果,近年の急速な優占種変遷を,使用された薬剤に関連する理由のみで説明する事は困難と考えられた.ただ,本結論を断定するにはより詳細な調査が必要と考えられた.