2024 年 31 巻 1 号 p. 1_1-1_38
健康に対する社会的要請と消費者の関心は高く、健康寿命を延伸する一次予防に資する健康関連サービスへの期待と需要は大きい。一方で「健康」の曖昧さが消費者の目標を不明確にし、健康関連サービスの利用促進を困難にしている。本研究は、C-Dロジックの観点からその目標をとらえ、顧客エコシステムにおいて中心的な役割を果たす要素として、消費者が健康によって実現したい最終目標である「消費者の健康目標」(CHGs:Consumer Health Goals)を想定し、1,479名の自由記述を対象とした質的データ分析によりその次元を明らかにした。さらに目標の明確さがサービスの継続利用に与える影響を、4年間にわたる追跡調査の縦断的分析によって検証した。8主次元・35下位次元からなる多様な目標が「個人─社会」「成長─自己防衛」という価値の志向性のもとに分類されるCHGsの構造が明らかになるとともに、CHGsとサービス利用が目標階層構造を成しており、行動変容理論の知見によってそのプラスの影響が説明できることが示された。