消費者行動研究
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巻頭言
研究論文
  • 多田 伶, 勝又 壮太郎
    原稿種別: 論文
    2023 年 29 巻 1_2 号 p. 1_1-1_26
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    消費者行動研究において、意思決定プロセスの解明は重要テーマとして位置づけられるが、先行研究の多くは意思決定の合理性に焦点を当て、分析を行ってきた。しかしながら、研究が進展するにつれて、消費者が意思決定を無意識に下しやすいことも明らかになっている。特に、社会心理学の分野で提唱された無意識的思考理論を応用すれば、消費者の意思決定プロセスは意識と無意識の両面からとらえられる。同理論は2つの思考モードが意思決定で中核的な役割を果たすと仮定するが、思考モードの測定尺度はいまだ確立していない。そこで、本研究は調査や実験を行い、尺度の信頼性、構成概念妥当性、既知集団妥当性、法則定立妥当性を検討するなかで、消費者思考モード尺度の作成を試みた。本研究の尺度は消費者行動研究やマーケティング実務で活用しやすく、研究と実務の双方で大きな意義がある。

研究ノート
  • 井関 紗代, 北神 慎司
    原稿種別: 研究ノート
    2023 年 29 巻 1_2 号 p. 1_27-1_38
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2024/03/31
    [早期公開] 公開日: 2023/12/20
    ジャーナル フリー

    補償的コントロール理論(compensatory control theory)によると、何らかの状況的要因によって、コントロール感が低下した場合、そのコントロール感をベースラインまで戻そうと動機づけられ、一時的にコントロール欲求が高まる。しかし、日本人のコントロール欲求はもともと低いことが指摘されている。したがって、日本人の場合、コントロール感が低下しても、それを補完しようとする動機が弱い可能性が示唆される。そこで、研究1では、日本人を対象に、コントロール感(高、低)を操作し、一時的にコントロール欲求が高まるのか検討したところ、その再現に成功した。研究2では、低下したコントロール感を補完する方略としてカスタマイズに着目した。コントロール感の低下により、一時的にコントロール欲求が高まっている場合、カスタマイズ商品に対する心理的所有感が高くなるという予測に基づき検討したが、コントロール感の操作による違いは確認されなかった。さらに、カスタマイズの有無にかかわらず、コントロール感高条件(vs低条件)で心理的所有感が高くなることが示された。

書評
巻頭言
特集論文
  • 日本・韓国・台湾の国際比較調査結果から
    小具 龍史, 熊谷 信司
    原稿種別: 特集論文
    2023 年 29 巻 1_2 号 p. 2_49-2_74
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2024/03/31
    [早期公開] 公開日: 2022/12/15
    ジャーナル フリー

    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のまん延により、我々の生活は一変し、ライフスタイルの変化が生じている。今後は変容したライフスタイルの下、我々は“ウィズコロナ” の考え方に基づいた、COVID-19との共存・共生を余儀なくされることが想定されるため、消費者行動の変化に対応した新しい消費者セグメンテーションが必須となる。そこで本研究では、COVID-19禍における消費者セグメンテーションに関する探索的な研究を行った。COVID-19に関する消費者行動への影響は、直接的に推し量ることが困難であるため、まずは消費者のライフスタイル分類を行い、当該ライフスタイル別のCOVID-19への態度を明らかにした。そして潜在クラス分析を用いた消費者セグメンテーションにより、それぞれのクラスの消費財分類(耐久財・非耐久財・サービス)ごとに、ブランド選択の志向性に関する検証を行った。なおCOVID-19が、世界的な事象であることを鑑みれば、上記事象は日本のみならず、他地域にも普遍的な事象か否かが検討される必要がある。そこで本研究では国際比較調査を行い、韓国および台湾の動向についても同時に分析・考察した。

  • プロスポーツを対象とした検証
    松原 優
    原稿種別: 特集論文
    2023 年 29 巻 1_2 号 p. 2_75-2_97
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2024/03/31
    [早期公開] 公開日: 2022/12/15
    ジャーナル フリー

    本研究は、人が持つ所属欲求と社会的アイデンティティ理論のフレームワークに、ブランド・コミュニティにおける社会的なつながりの質に対する評価であるソーシャルネットワーク・クオリティを加えたモデルを開発することにより、ブランド・コミュニティが、消費やブランドに限定されない消費者の人生全般に関するウェルビーイングに及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。その結果、(1)ソーシャルネットワーク・クオリティがブランド・コミュニティ・アイデンティフィケーションの先行要因となること、(2)ブランド・コミュニティ・アイデンティフィケーションが消費やブランドに限定されない消費者の人生全般に関するウェルビーイングの先行要因となることが明らかとなった。さらに、ブートストラップ法を用いた媒介分析の結果、ソーシャルネットワーク・クオリティによる消費やブランドに限定されない消費者の人生全般に関するウェルビーイングへの影響は、ブランド・コミュニティ・アイデンティフィケーションによって媒介されることが明らかとなった。

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