接着歯学
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エナメル象牙境におけるエナメル質と象牙質の生物学的接着強さ
エナメル象牙境の引張り破壊強さ
浦部 功佐野 英彦猪越 重久田上 順次
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1998 年 16 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

エナメル象牙境はエナメル質と象牙質の異なる二つの硬組織が接合している部位である。ここをエナメル質と象牙質の接着界面とみなすならば、その接合状態はレジンボンディングシステムの性能の指標になると思われる。レジンボンディングシステムの接着試験に近年用いられているマイクロテンサイルテストにてエナメル象牙境付近の破壊強さを測定したところ、牛歯では47.7MPa、人歯では51.5MPaであった。最新のレジンボンディングシステムを同試験法で評価すると約40~50MPaの値を実現するまでになってきており、引張り接着強さに関しては、生物学的な接合状態を再現していると考えることもできる。しかしながら、エナメル象牙境は非常に複雑な構造をしており、その破壊形態から局部的な機械的性質は高いことが示唆された。今後はこのような生物学的な接合状態の再現を試みることで、レジンー象牙質接着界面の質の向上が必要であろう。

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