本研究は、新規金属プライマー (MP-100, クラレ)について硬質金合金および金銀パラジウム合金を被験金属、パナビア21を接着材として、1) 初期接着強さ、2) 接着耐久性、3) 塗布方法が接着強さに及ぼす影響、4) 接触角を評価検討した。
サンドブラスト処理面にプライマーを塗布すると、金属の種類を問わず初期接着強さは有意に向上し、熱サイクル試験を10,000回行っても接着強さは低下せず優れた接着耐久性を示した。接触角の検討からプライマー処理により接着性レジンと金属被着面とのぬれが向上したと推察されるが、多量に塗布すると接着強さは著しく低下した。臨床的には、補綴修復装置を試適後にサンドブラスト処理し、金属プライマーを少量塗布しスリーウェイシリンジで十分乾燥するのが望ましいと考えられた。金属プライマーは塗布し乾燥するだけで安定した接着強さが得られ、口腔内での塗布も可能なことから臨床上広範な用途が見込まれる。
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