接着歯学
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16 巻, 1 号
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  • エナメル象牙境の引張り破壊強さ
    浦部 功, 佐野 英彦, 猪越 重久, 田上 順次
    1998 年 16 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1998/02/27
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    エナメル象牙境はエナメル質と象牙質の異なる二つの硬組織が接合している部位である。ここをエナメル質と象牙質の接着界面とみなすならば、その接合状態はレジンボンディングシステムの性能の指標になると思われる。レジンボンディングシステムの接着試験に近年用いられているマイクロテンサイルテストにてエナメル象牙境付近の破壊強さを測定したところ、牛歯では47.7MPa、人歯では51.5MPaであった。最新のレジンボンディングシステムを同試験法で評価すると約40~50MPaの値を実現するまでになってきており、引張り接着強さに関しては、生物学的な接合状態を再現していると考えることもできる。しかしながら、エナメル象牙境は非常に複雑な構造をしており、その破壊形態から局部的な機械的性質は高いことが示唆された。今後はこのような生物学的な接合状態の再現を試みることで、レジンー象牙質接着界面の質の向上が必要であろう。
  • 吉本 彰夫, 山下 敦, 近藤 康弘, 矢谷 博文
    1998 年 16 巻 1 号 p. 7-17
    発行日: 1998/02/27
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    本研究は、新規金属プライマー (MP-100, クラレ)について硬質金合金および金銀パラジウム合金を被験金属、パナビア21を接着材として、1) 初期接着強さ、2) 接着耐久性、3) 塗布方法が接着強さに及ぼす影響、4) 接触角を評価検討した。
    サンドブラスト処理面にプライマーを塗布すると、金属の種類を問わず初期接着強さは有意に向上し、熱サイクル試験を10,000回行っても接着強さは低下せず優れた接着耐久性を示した。接触角の検討からプライマー処理により接着性レジンと金属被着面とのぬれが向上したと推察されるが、多量に塗布すると接着強さは著しく低下した。臨床的には、補綴修復装置を試適後にサンドブラスト処理し、金属プライマーを少量塗布しスリーウェイシリンジで十分乾燥するのが望ましいと考えられた。金属プライマーは塗布し乾燥するだけで安定した接着強さが得られ、口腔内での塗布も可能なことから臨床上広範な用途が見込まれる。
  • 猪越 重久
    1998 年 16 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 1998/02/27
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    接着性材料を活用することで歯髄を保存する可能性が大きく広がった。直接覆髄は接着性材料を活用する臨床医にとって身近で大きな関心事となっている。しかしながら、覆髄処置の臨床成績にばらつきが見られるのは、術前の歯髄の状態が覆髄に適さない症例や、施術が困難で処置が確実に行えなかった症例などが含まれているためであろう。直接覆髄の臨床成績をよくするためには、待機的な処置も含めながら、深在齲蝕罹患歯の術前ならびに術中の歯髄診断と適応症例を明確にする必要がある。露髄部に感染歯質の残置が無く、歯髄に対する機械的侵襲が少ない状態で露髄した場合で、止血や辺縁封鎖を確実に確保できるのであれば、露髄面に接する材料が水酸化カルシウムセメントであろうが接着性レジンであろうが、材料が確実に硬化する限り、その成績には大きな差異は見られないであろう。
  • コンポジットレジンとの適合性について
    瀧澤 雅一, 天谷 哲也, 高橋 賢, 清野 栄治, 高瀬 保晶, 平井 義人, 石川 達也
    1998 年 16 巻 1 号 p. 24-33
    発行日: 1998/02/27
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    本研究はコンポジットレジン修復にEr: YAGレーザーによる窩洞形成を応用した場合の適合性についての検索を目的とし、レーザーを用いて窩洞形成を行いコンポジットレジン (Clearfil Liner Bond II, Clearfil AP-X) を充填した牛抜去歯に温度的負荷をかけ色素浸入試験を行った。また、ヒト抜去歯の象牙質切削面およびin vivoにおいて成犬歯牙に修復を施したコンポジットレジンと象牙質界面のSEM観察を行った。その結果、Er: YAGレーザー切削と高速回転切削を比較して、エナメル質の辺縁封鎖性に有意な差は認められず、象牙質-修復材料の界面観察においても良好に接着した像が観察された。また、Er: YAGレーザーによる象牙質切削面では高速回転切削にみられるスミア層は観察されず、象牙細管が開口した状態が観察された。以上の結果より、Er: YAGレーザーによる窩洞形成の本実験に採用したコンポジットレジン修復システムへの適応性が示唆された。
  • 猪越 重久
    1998 年 16 巻 1 号 p. 34-38
    発行日: 1998/02/27
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    メタルをリテーナーとしたブリッジは、症例によって金属色が見えてしまう場合があり、一方コンポジットレジンのみによるブリッジは、破折などの強度に対する不安が残る。接着性の高強度ポリエステル繊維である“ribbond”を補強材とすることで、強度の高いコンポジットレジンによるブリッジを作製することができる。
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