接着歯学
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低粘性レジンがオールインワンアドヒーシブの象牙質微小引張り接着強さに及ぼす効果
井上 哲Bart Van Meerbeek阿部 泰彦Paul LambrechtsGuido Vanherle佐野 英彦
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2000 年 18 巻 2 号 p. 85-92

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抄録

オールインワン・セルフエッチングタイプ歯質接着材の接着性能を, 接着界面のTEM観察および種々の接着条件下 (光照射の有無, 修復材料がコンポマーかコンポジットレジンか) での微小引張り接着強さにより評価するとともに, 低粘性レジン (LVR) の併用が接着強さに及ぼす効果についても検討した.本材と象牙質の接着界面には, 厚さ2~3μmのハイブリッド層, レジンタグ, 細管壁および細管側枝のhybridizationなどが観察され, トータルエッチング接着材における界面の超微細構造に類似していた.微小引張り接着試験において, 試料作製中に高頻度に破壊が認められたため, 測定成功率を算出した.LVRを本材と修復用レジンの間に介在させたところ, 接着強さはLVRを使用しない他の群と差は認めないものの, 測定成功率は有意に向上した.以上より, 本材の接着性能には, 非常に薄いレジン層が影響しており, さらにLVRがより安定した結果をもたらしたのは, レジン層を重合させるためのair-barrier効果あるいは, 修復用レジンの重合収縮を部分的に補償するshock-absorbing効果によるものと考えられた.

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