接着歯学
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レジンを「歯にくっつける」接着からレジンで「歯を守る」接着へ
う蝕症追放への挑戦
中林 宣男
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2001 年 19 巻 1 号 p. 26-37

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抄録
象牙質の表層に樹脂含浸象牙質を作ると, レジンを象牙質に接着できる.しかし, この考えは歯科臨床の現場では, 修復物を歯質にくっつける程度の理解しか得られず, 接着歯学の普及につながらなかった.接着をくっつける技術として理解せず, 樹脂含浸象牙質は歯を保護する上で大切な機能を持つことを説いてみた.その後も, 樹脂含浸象牙質が歯科医療に革新的変革をもたらす可能性を秘めていることを, 大学人と臨床家に理解してもらうべく思考を続けてきた.本報では, エナメル質が健全である歯は健全であるところから, 象牙質が露出した歯に人工エナメル質を与えると, それはエナメル質に代わって, 象牙質と歯髄を守る構造物になりうること, そして歯には創傷治癒機能がないため, 切削面は細菌感染を受けることがこれまでの歯科治療法の問題点であったと結論したい.人工エナメル質は露出象牙質の切削面の内部に刺激不透過性の膜様構造物として存在し, あたかも切削面が治癒したような効果を期待できると考えられるので, 本論文を記述することとした.
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