日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成26年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 1D-a1
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口頭ー発表
フライのバッター配合が衣のテクスチャーに及ぼす影響
*上野 真理鈴木 麻希渡辺 雪乃冨田 美鈴杉山 寿美
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抄録

【目的】フライ調理は外部化し,家庭内で揚げ加熱を行って直ちに食することは少なくなっている。そこで,揚げ加熱前の冷凍過程,揚げ加熱後の保存過程がフライの嗜好性に及ぼす影響を把握することを目的とし,バッター配合のテクスチャーへの影響を検討した。
【方法】バッターは,小麦粉:水=1:2とした(コントロール)。また,粉重量の30%をリン酸架橋澱粉(タピオカ,とうもろこし,小麦澱粉),ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉(タピオカ澱粉)に置換したものも調製した。バッターに舌平目20gを浸し,パン粉をまぶす作業を2度繰り返した。衣づけした試料の一部は,-20℃で一晩冷凍した。これらは中心温度が75℃となるよう180℃で加熱した。静的粘弾性は,テクスチャーアナライザーEZ-S (島津,φ5mm)を用いて,硬さ,破断エネルギーを測定した。官能評価は,管理栄養士養成課程の学生をパネルとした。衣の観察は走査型電子顕微鏡(JSM-5800LM,JOEL)で行った。
【結果】静的粘弾性測定:加熱直後の衣の硬さ,破断エネルギーは,コントロールと澱粉バッターに差は認められなかった。4時間保存後は,いずれのバッターでも,硬さ,破断エネルギーが有意に増加し,特に澱粉バッターで顕著であった。冷凍試料でもほぼ同様であった。官能検査:加熱直後はコントロールとタピオカ澱粉で歯切れ,脆さに有意な差は認められないものの,4時間保存後にはコントロールの歯切れ,脆さが著しく低下し,衣の硬さで有意な差が認められた。冷凍試料では,有意ではないもののコントロールの歯切れが悪く,硬いと評価された。SEM:冷凍の有無にかかわらず,コントロール,タピオカともに大きな凸凹は認められるものの,多孔性の構造は認められなかった。

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