接着歯学
Online ISSN : 2185-9566
Print ISSN : 0913-1655
ISSN-L : 0913-1655
フッ素徐放性接着システムの接着耐久性について
山本 一世谷本 啓彰白石 充清水 建彦井上 正義
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 20 巻 3 号 p. 150-157

詳細
抄録
3種のフッ素徐放性接着システムクラレメディカル社製試作ABF, 松風社製フルオロボンド (以上2ステップシステム) および松風社製リアクトマー (1ステップシステム) のエナメル質および象牙質に対する接着耐久性を検討した.37℃ 水中に1日間および1年間浸漬後, また5-55℃ のサーマルサイクリングを5,000回負荷した後に引張接着強さを測定した.ABFは1日後ではエナメル質, 象牙質いずれに対しても高い接着強さを示した.サーマルストレスによってエナメル質に対する接着値が低下したが, 破断面はボンディングレジンの凝集破壊が大部分であり, 界面における接着強さは得られた値よりも大きいと考えられた.フルオロボンドは象牙質に対してはABFと同様接着強さは良好であったが, エナメル質に対しては接着値が低く, 大部分が界面破壊であったため, 接着力が不十分であると考えられた.リアクトマーはエナメル質, 象牙質のいずれに対しても, 1年間の水中浸漬後の接着値が1日後と比較して有意に低下し, 破断面はボンディングレジンの破壊が大部分であった.したがって水中においてボンディングレジンが経時的に劣化するものと思われる.
著者関連情報
© 日本接着歯学会
前の記事 次の記事
feedback
Top