抄録
最近市販された4種のワンステップボンディングシステム (AQ, OB, RB, XB) の接着性を2ステップのリン酸エッチングを行うウエットボンディングシステム (EX) と比較検討した.#150, #600, #1000耐水研磨紙で研削した牛歯エナメル質, 象牙質に対するせん断接着強さを測定し, 歯質に対する研削条件の接着強さに及ぼす影響を調べた.
ワンステップボンディングシステムのエナメル質に対する接着強さは13.5~21.3MPaの範囲であり, EX (21.5~23.8MPa) に比較して全体的に低い傾向が認められた.特に, AQおよびOBでは, #150, #600研削面に対する接着強さは#1000研削面に比較して有意に低かった.一方, 象牙質に対する接着強さは製品により異なり, 9.2~17.3MPaの範囲であった.AQでは12.4~15.4MPa, OBでは11.4~13.OMPa, RBでは9.2~10.3MPaの接着強さが得られ, 研削条件により接着強さに有意な差は認められなかった.XBでは12.2~17.3MPaの接着強さを示したが, #150研削面で有意に高い傾向が認められた.EXでは10.2~16.0MPaの接着強さを示したが, #1000研削面で有意に低い傾向が認められた.