抄録
光重合型製品の使用範囲の拡大は, これを重合硬化させる照射器の需要を広げるとともに, さまざまな臨床状況に応じた新しいタイプの照射器も開発された.そのなかで, LED照射器は, その分光波長分布がカンファーキノンなどの光増感剤の吸光域と一致しているところから, 光重合型製品の種類によっては重合効率が高いことが示唆されているものの, 本照射器が市販されて間もないこともあり, 不明な点が多い.そこで, 光強度が異なるLED照射器の2製品を用いて, その重合特性を明らかにすることを目的として, 光重合型レジンの硬化深さおよび縦断面におけるヌープ硬さをパラメーターとして検討した.その結果, LED照射器であってもその光強度が低い場合においては光重合型レジンの重合状態は, その深部においては十分ではなく, 照射時間を延長するなどの臨床的対応が必要であることが示唆された.