接着歯学
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術者の経験が象牙質接着システムの接着強さに及ぼす影響
池田 正臣二階堂 徹田上 順次
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2003 年 21 巻 2 号 p. 68-73

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抄録

接着性レジンの開発, 改良により象牙質に対する高い接着性が得られるようになった. 本研究では, 接着機構の異なる3種類のボンディングシステムについて術者の経験が牛歯象牙質に対する接着強さに及ぼす影響を検討した. #600の耐水研磨紙を用いて研削した牛歯象牙質に対して3種類のボンディングシステム (2ステップセルフエッチング, ウエット, オールインワン) を用いて接着した. 試料は水中1日浸漬後, クロスヘッドスピード2.0mm/minにて引張り試験を行った. その結果, 接着試験の経験のあるインストラクター群, 接着試験の経験のない新大学院生群とも, クリアフィルメガボンドの接着強さが有意に高かった (p<0.05). また, 新大学院生群とインストラクター群における各ボンディングシステムの接着強さを比較すると, クリアフィルメガボンドにおいては両群の間に有意な差はなかった (p>0.05). 一方, シングルボンド, AQボンドの接着についてはインストラクター群が新大学院生群に比べて有意に高い接着強さを示した (p<0.05). 以上より, ボンディングシステムの接着性能に違いが認められ, 材料によっては術者の経験の差がその接着性能に影響を及ぼすことがわかった.

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© 日本接着歯学会
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