本研究では, 近年開発されたフロアブルレジンを用いてくさび状欠損窩洞を修復し, 窩洞の歯頂側・歯頸側両窩壁に対する接着強さの測定を行い, 従来の充填用ハイブリッド型レジンで修復した場合と比較した.18本のヒト抜去第3大臼歯の頬側歯頸部にくさび状欠損窩洞を形成し, Clearm Mega Bond (MB) またはOne-up Bond F (OB) を用いて製造者指示通り接着操作を行った.その後, Hybrid群はPa1fique Estelite, Flowable群はPalnque Estelite LV High Flowを充填した.室温水中24時間保管後, 象牙質接合界面の断面積が1mm2 (0.7×1.4mm) の微小引張り試験用試片を作製し, 窩洞の歯頂側壁および歯頸側壁における微小引張り接着強さを測定した.結果は, one-way ANOVA, three-way ANOVAおよびFisher's PLSD test (P<0.05) にて統計処理を行った.MB, OB両接着システムとも, 歯頂側壁・歯頸側壁の各窩壁において, Flowable群はHybrid群より高い歯質接着強さを示し, MBの歯頸側壁を除き, 統計学的有意差が認められた.本実験で用いられたフロアブルレジンはくさび状欠損窩洞修復に用いた際, ハイブリッド型レジンと比較して歯質接着強さを向上させることが示唆された.
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