接着歯学
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薄膜オールインワンボンデイング材の歯質接着強さと重合率の研究
山本 憲廣杉山 貴則若松 尚吾冨田 行秀平山 聡司池見 宅司
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2004 年 22 巻 3 号 p. 217-225

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抄録

著者らは, AQ BondとAQ Bond Plusに関して, 照射器の違いによる歯質接着強さを比較検討し, 歯質接着強さに影響を与えると考えられるそれぞれの重合率およびエタノール溶解性について調べることを目的として実験を行った.引張り接着強さはエナメル質と象牙質についてAQ BondとAQ Bond Plusならびに各種照射器の条件で測定した.重合率の測定はFTIRを使用し, ATR法を採用して算出した.エタノール溶解性に関しては, ボンディング材をおのおのの照射器で光重合してエタノールに浸漬し, 残留したボンディング材を光学顕微鏡で観察した.
その結果,
1. 引張り接着試験において, AQ Bond PlusはAQ Bondよりもエナメル質および象牙質で有意に高い接着強さを示し, いずれの照射器を使用しても安定した接着強さを示した.
2. AQ Bond PlusはAQ Bondよりも有意に高い重合率を示し, 引張り接着強さと同様に, AQ Bond Plusでは照射器の種類による影響のないことが判明した.
3. ボンディング材重合硬化体のエタノール溶解性において, AQ Bond PlusはAQ Bondよりも多量の残留ボンディング材重合硬化体が観察された.

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© 日本接着歯学会
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