接着歯学
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Er: YAGレーザー照射が歯頸部コンポジットレジン修復の接着信頼性に及ぼす影響
鈴木 貴規奈良 陽一郎
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2008 年 26 巻 1 号 p. 17-29

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抄録

本研究の目的は, Er: YAGレーザー照射が歯頸部コンポジットレジン修復の接着信頼性に及ぼす影響と, 抗菌性セルフエッチングプライマー接着システムの有効性について検討することである. ヒト抜去下顎小臼歯の歯頸部に, Er: YAGレーザー (L) または回転切削器具 (R) を用いて最終形成したそれぞれ20窩洞の規格化V字状窩洞を形成した. それら窩洞を2種のセルフエッチングプライマー接着システム, すなわち1種抗菌性システム;クリアフィルメガボンドFA (F, クラレメディカル) と従前システム;クリアフィルメガボンド (M, クラレメディカル), および1種コンポジットレジンを用い, 製造者指示に従い修復した. 4種修復試料, それぞれ10試料を口腔内環境を想定した複合ストレス負荷試, 験に供した. 複合ストレス負荷後の試料における象牙質窩壁に対するmicro-tensile bondstrength (μ-TBS) 値を測定した. データは分散分析ならびにワイブル分析により解析した. LF/RF/LM/RM修復のμ-TBS値 (SD) は, それぞれ7.0 (4.6)/12.4 (4.8)/9.0 (4.9)/15.4 (6.1) MPaを示した. L修復のμ-TBS値は, システムにかかわらず, R修復の同値より危険率1%で有意に小さかった. ワイブル係数においては, システムにかかわらず, L修復とR修復との間に危険率1%で有意差を認め, L修復の接着信頼性はR修復より有意に劣っていた. また, 最終窩洞形成に用いた器具にかかわらず, F修復とM修復との間のワイブル係数に有意差は存在せず, 両修復における同等の接着信頼性が認められた.

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