接着歯学
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各種ワンボトルワンステップ接着システム材の接着性能
川本 千春福岡 杏理星加 修平田中 享佐野 英彦
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2008 年 26 巻 1 号 p. 52-57

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抄録

近年, 各種ワンステップ接着システムが開発・市販されている. この接着システムは, 操作過程を減らすことで操作時間を短縮することができる. その一方で, 臨床試験では接着性能が低下するとの報告がある. また, in vitroでもほとんどのワンステップ接着システムで2ステップや3ステップの接着システムに接着力で及ぼないとの報告もある. 本研究の目的は, 微小引張り接着試験より各種ワンステップ接着システムの接着性能を評価することである.
ヒト抜去大臼歯の咬合面を, #600の耐水研磨紙にて注水下で研削したエナメル質および象牙質を被着面とした. 市販のワンステップ接着システム3種, クリアフィルトライエスボンド (S3), OptiBond All・In・One (OB), トクヤマボンドフォース (BF) と2ステップのクリアフィルメガボンド (MB) を用いた. 被着面を接着処理を行った後, コンポジットレジンを築盛・硬化した. 37℃ の水中下で24時間浸漬後, スティック状の試料を作製し微小引張り接着試験を行った. 得られた値はKruskal WallisとGames-Howellにて統計処理を行った. エナメル質に対する引張り接着強さはMBとBFにおいて有意差を認めたが, ワンステップ接着システム間で有意差を認めなかった. 一方, 象牙質では, BFがS3より有意に高い接着力を示した.本実験より, 2ステップ接着システムはワンステップのそれよりも常に接着強さが高いとは限らないことが示唆された.

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© 日本接着歯学会
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