日本接着学会誌
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研究論文
リグニン系ポリマーの高次構造制御と循環型複合材料の誘導
永松 ゆきこ船岡 正光
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2001 年 37 巻 12 号 p. 479-486

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抄録
相分離系変換システムにて合成したリグニン系素材(リグノ‐p‐クレゾール,リグノ‐2,4‐ジメチルフェノール)をメチロール(HM)化し,それぞれネットワーク生長型およびリニア生長型プレポリマーを誘導した。両プレポリマーを所定の割合でブレンドし,熱架橋処理した結果,リニア型からネットワーク型まで高次構造の異なる各種架橋体が得られた。架橋体はいずれも分子内スイッチング機能(C1フェノール核のC2炭素への求核攻撃)によって高度に解放され,特にリニア型のHM‐リグノ‐2,4‐ジメチルフェノール架橋体は架橋前のオリジナル素材と同等のスイッチング効果を保持していた。セルロースとの複合成形体において,その寸法安定性はネットワーク生長型HM‐リグノ‐p‐クレゾールの混合比の増加につれて向上した。スイッチング機能により,複合体はセルロース区分とリグノフェノール区分とに再分離可能であった。
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© 2001 一般社団法人 日本接着学会
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