2002 年 38 巻 7 号 p. 237-243
熱可塑性エラストマーであるエチレン-オクテン共重合体に水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を6 インチロール用い複合化した。この系に,混練時にポリエチレン(PE)とカルボン酸官能基を有したポリアクリレートとからなるブロックポリマー(PE-diblock)を加えて改質を行い,ステアリン酸 (HSt)やマレイン酸変性ポリエチレン(MAh-PE)による場合と比較した。Mg(0H)3を65wt%充填した複合材料の降伏強度,弾性率および伸びは未改質ではそれぞれ5.5MPa,320MPa,550%,HS の場合は2.8MPa,185MPa,790%,PE-diblockの場合は5.9MPa,200MPa,800%,MAh-PEの場合は7.5MPa,220MPa,110%であった。改質剤は複合材料の力学特性に大きく影響し,PE-diblockによる改質ではバランスのとれた力学特性が得られることが分かった。これらの改質剤は添加量とともに力学特性が向上し,2wt%以上でその効果が飽和していた。改質複合材料の力学特性を解析した結果,改質剤はマトリックス/粒子界面に存在し,その界面構造が改質剤の骨格構造に依存していることが推察された。