日本接着学会誌
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技術論文
生分解性ポリエステルエマルションの製造研究(その2)乳化装置の検討[生分解性ポリエステル接着剤の応用研究(その2)]
土井 幸夫石井 明市川 靖沖野 義郎
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2005 年 41 巻 9 号 p. 353-359

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抄録

生分解性ポリエステルエマルションの作製を三つの乳化装置を用いて検討した。一つはタービン一本とブレード二本を持ち,それらの自転,公転により非常な高粘度系をも均一撹枠出来るミキサー(プラネタリー型ミキサーと略記),二つはラモンドユニットの作る細間隙へ乳化される混合物を高圧で通過,分散せしめるホモジナイザー(ラモンドミキサーと略記),そして三つは同方向に回転する二本のスクリュウを持つ押出機である。ポリカプロラクトンはトルエンに溶解してプラネタリー型ミキサーおよびラモンドミキサーに使用され,ポリブチレンサクシネートーCO-アジペートはペレットとして押出機に供給された。部分鹸化ポリビニルアルコールが乳化剤として用いられた。目的は粒子径1μm,耐水性皮膜を与えるエマルションの円滑な乳化技術確立であり,次の結果がえられた。1.円滑な乳化技術とは系内の均一撹枠を最後まで維持するために特別面倒な操作を必要としないことを意味し,この目標は3種類全ての乳化装置で実現された。2.粒子径1μmと耐水性皮膜は高分子エマルション接着剤にとっての最低必要性能であり,前者はブラネタリー型ミキサーとラモンドミキサーで実現されたが,押出機では到達最小粒子径が2μmより小さくはならなかった。後者の耐水性皮膜は押出機で得られたが,他の二つの乳化装置では水に再分散する皮膜となった。3.粒子径と乳化パラメーターとの間の関係が定量的に見出され,ラモンドミキサーでは流速の影響の,押出機では原料供給速度の影響の大きいことなどが把握されたので,それらを援用すれば当初目標の達成は可能と期待される。

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© 2005 一般社団法人 日本接着学会
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