日本接着学会誌
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研究論文
AA化PVA水溶液のpMDI分散特性と木材接着性能(第2報) -架橋したAA化PVAの動的粘弾性と木材接着性能-
山田 雅章前田 理恵子滝 欽二渋谷 光夫
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2006 年 42 巻 10 号 p. 393-400

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抄録

アセトアセチル (AA) 化PVAとpMDI (ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート)とを混合した場合の架橋反応やこれらを接着剤とした場合の木材接着性能について検討するため,PVAの重合度,疎水基量および疎水基の分布状態を示すブロックキャラクターを変えた一般PVAおよびAA化PVAを用いて,接着剤フィルムの動的粘弾性測定や木材接着試験を行った結果,以下のことが明らかになった。pMDIの分散性能が良好なPVAほど混合物フイルムの動的粘弾性のE”ピークが高温側にシフトし,同時にゴム状平坦部のE’値が上昇した。中でもAA化PVAはE”ピークのシフト量が全サンプル中で最大であった。ガラス転移温度のずれからNielsenの経験式1) を用いて算出した架橋密度とゴム弾性理論により導かれた式2)を用いてゴム状平坦部におけるE’値から算出した架橋密度とを比較したところ,ユリア結合などのNCO誘導体の効果が反映される後者からの架橋密度の方が高い値を示した。また,分散性が良いPVAほどどちらの式から算出された架橋密度も高い値を示した。架橋反応に関与したPVA中の官能基の割合(架橋率)を検討した結果,分散性の良いPVAほど架橋率が高く,特にAA化PVAは架橋率が非常に高かった。またpMDI添加比が多くなるほどこの傾向は顕著になった。分散性が良好でフィルムの架橋密度が高いPVAほど高い木材接着性能を示し,分散性能と木材接着性能には高い相関が認められた。

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© 2006 一般社団法人 日本接着学会
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