日本接着学会誌
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研究論文
CTBN/エポキシアロイ樹脂の制振性と接着強さ
岸 肇小林 友作長尾 厚史松田 聡浅見 敏彦村上 惇
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2006 年 42 巻 7 号 p. 264-271

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抄録

カルボキシル基末端ブタジエンニトリルゴム(CTBN)をエポキシ樹脂に反応ブレンドしたポリマアロイ樹脂により金属板を接着し,制振特性および接着強さを評価し,物性発現機構をアロイ樹脂の動的粘弾性,力学特性や相分離構造と関連づけ考察した。CTBN/ジグリセロールポリグリシジルエーテルアロイ樹脂(CTBN添加量30wt%)には,ゴムリッチ相が連続相,エポキシリッチ相が分散相となるミクロ相分離構造が硬化中に形成された。硬化樹脂の低強度・低伸度を反映し接着強さは低く,また拘束型制振鋼板の損失係数(η)の温度・周波数依存性は大きいものであった。一方,CTBN/ビスフェノールAジグリシジルエーテルアロイ樹脂硬化物(CTBN添加量60wt%)には明確な相分離構造は認められず,両成分がナノレベルにまで相溶化が進んだと考えられる。硬化樹脂の広温度範囲における高損失正接(tanσ)を反映し,広い温度・周波数領域にて拘束型制振鋼板のηが0.1以上となる高制振性を発現した。ηの温度依存性や樹脂組成間の序列は,硬化樹脂のtanσ,せん断弾性率および制振鋼板の形状因子をパラメータとしたRoss-Unger-Kerwin式により概ね説明できる。また,CTBN/ビスフェノールAジグリシジルエーテルアロイ樹脂の高せん断・はく離接着強さは,バルク樹脂の高エネルギー吸収能力とアルミ板への高界面接着性によりもたらされたと考えられる。

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© 2006 一般社団法人 日本接着学会
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