抄録
代表的な光酸発生剤であるトリフェニルスルホニウム塩を含有したセルロースアセテート(CA;DS(degree of substitution)=2.45)フィルムを調製し,その光照射による分解挙動を検討した。波長が275nm以下の光を吸収するフィルターを通過したキセノンアークランプ光の照射により,CAの分子量が低下し,CAフィルムから酢酸が生成した。また,トリフェニルスルホニウム塩の含有量が高いほどCAの分子量低下やCAフィルムからの酢酸生成が増大した。この結果により,トリフェニルスルホニウム塩から生成した酸が触媒として働き,CAの加水分解により主鎖の切断および脱アセチル化が進行することがわかった。