抄録
PVA側鎖の一部にアセトアセチル (AA) 基を導入したAA化PVAの優れた木材接着性能を解明するため,AA化PVAの界面活性能の評価やPVA水溶液のpMDI (ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート)分散特性とイソシアネート (NCO) 基消費性能の関係を,重合度ならびに側鎖に導入した疎水基の量および分布状態を変えた一般PVAを比較に用いて検討した。AA化PVAの各種特性を疎水基の量と分布状態が同程度である一般PVAと比較した。その結果,AA化PVA水溶液は表面張力や油状成分との界面張力が低く,良好な界面活性能を示すことがわかった。また,AA化PVA水溶液の油状成分分散性能は高く,一般PVAに比べて水溶液中でpMDIを小さな粒子に分散させることが明らかとなった。PVA水溶液中でのイソシアネート基消費についてもAA化PVAは優れた性能を示した。以上のことから,AA基は疎水基として優れた界面活性能を有するだけでなく,反応性を持つ官能基として油状成分を水溶液中に分散させる機能を有することが明らかとなった。