日本接着学会誌
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論文
粘着テープの剥離時帯電
堀 靖郎穂永 信石部 功
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2007 年 43 巻 3 号 p. 97-103

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抄録

粘着テープを被着物から剥離する時の帯電について,その帯電量の測定手順,帯電の2次元分布測定を含めて,基礎的な研究を行った。ファラデーケージと前置増幅器,XY型帯電2次元分布測定装置を新たに作製した。用いた粘着テープは5種類,被着物は15種類を用い,それぞれの組み合わせについて剥離時帯電の測定を行った。得られた粘着テープの剥離時帯電量は,粘着剤がゴム系・アクリル系に拘わらず,普通の接触帯電と同様に被着物の帯電列に沿って,大きな負帯電(被着物:ポリメチルアクリレート(PMMA))から大きな正帯電(被着物:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))まで順番に変化した。但し被着物との組み合わせによっては,帯電量の大きさが順に並ばないものや,その帯電極性までも反対に出る組み合わせも有った。現在のところ,この原因は粘着剤に含まれる主剤以外の化合物と被着物との接触帯電作用によると推測している。剥離時帯電による,被着物の帯電2次元分布も測定し,いろいろな分布形態が有ることを見つけたが,この分布形態と接着形態及び剥離時放電との関係も考察している。

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© 2007 一般社団法人 日本接着学会
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