抄録
防食鋼管杭などの海洋鋼構造物用防食コーティングは,十分な耐水性を有し,かつ衝撃を受けた際にもき裂の進展が起こらないような柔軟性を有する材料が求められている。本研究ではこの条件が満たされうる材料としてポリウレタン樹脂を選び,異なるポリオールから合成した接着剤に関して,樹脂バルクの吸水試験IR分析,動的粘弾性測定および金属/樹脂試験片の吸水試験を行うことで,耐水性を検討した。IR分析から接着剤樹脂の吸水前後で化学反応は起きていないことが確認され,ヒマシ油ポリオールを用いたポリウレタン樹脂に関してガラス転移点,拡散係数および飽和吸水率と官能基数との相関が確認され,接着界面への水の浸透にもガラス転移点との相関があることが確認された。