日本接着学会誌
Online ISSN : 2187-4816
Print ISSN : 0916-4812
ISSN-L : 0916-4812
研究論文
凹凸型単分散ゲル微粒子の一段階による調製I. 調製条件の影響
木本 正樹日置 亜也子井上 陽太郎
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 45 巻 1 号 p. 10-16

詳細
抄録

ポリエチレングリコール(PEG)ブロックとアゾ基を含むマクロアゾ重合開始剤(PEG-MAI)を用いて,モノマーとして二官能性モノマーを用い,H2O/エタノール混合溶媒中においてゲル微粒子の調製を試みた。ゲル微粒子の粒子径,形態などにおよぼすモノマー濃度,モノマー/PEG-MAI比(RMI),溶媒組成などの影響について検討した。得られたゲル微粒子は粒子径100~400nm程度のほぼ単分散微粒子であり,表面に20nm程度の凹凸を有している。RMI=50一定でゲル微粒子合成の際のモノマー濃度を変化させた場合,モノマー濃度が0.2mol/L以上ではマクロゲル化したが,0.1mol/L以下にするとゲル微粒子が分散状態で得られ,濃度が高い方が粒子径は大きいことがわかった。モノマー濃度一定(0.1mol/L)の場合,RMIが50~1程度の範囲においてゲル微粒子が分散状態で得られ,いずれも凹凸を有する微粒子であった。RMIの値が小さいほど,粒子径は小さいことがわかった。ゲル微粒子の粒子径と調製の際の混合溶媒中のH2O含有率との関係から,溶媒との親和性によって粒子径が異なるものと考えられた。前報のPEG-MAI/単官能モノマーによる球状微粒子および二官能/単官能モノマーの共重合微粒子との比較から,微粒子表面の柔軟なPEGブロック・シェル層と硬いコア層の組み合わせによって凹凸機造ができやすいものと推定された。

著者関連情報
© 2009 一般社団法人 日本接着学会
前の記事 次の記事
feedback
Top