日本接着学会誌
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研究論文
硫黄原子を含むアリルエステルで変'性したジアリルフタレート樹脂の金属に対する接着性
大塚 恵子松本 明博木村 肇長谷川 喜一平野 寛岩井 利之
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2009 年 45 巻 3 号 p. 94-101

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抄録

ジアリルフタレート樹脂は,優れた耐熱性,高温高湿下における電気絶縁性,寸法安定性などから,電気・電子部品や電子部品封止材料として使用されている。しかし,近年の各種電気・電子部品の小型化・精密化に伴い,電気部品の金属インサート部や電子部品のリードフレームに使用されている銅に対する接着性の改善が要求されている。本研究では,ジアリルフタレート樹脂の金属に対する接着性向上を目的として,金属に対する界面相互作用を強化すると考えられる硫黄原子を含む官能基とジアリルフタレート樹脂と共重合するアリル基を持つアリルエステル化合物を合成し,改質剤としてジアリルフタレート樹脂に配合した場合の接着性を評価した。ジスルフィド結合を構造中に持つアリルエステル化合物を配合した場合,ジアリルフタレート樹脂と比較して銅に対するはく離接着強度は3.5倍,せん断接着強度は2倍になった。また接着試験後の試験片はく離表面の走沓型電子顕微鏡観察から,ジスルフィド結合を構造中に持つアリルエステル化合物の配合による界面接着力の向上が示I唆された。

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© 2009 一般社団法人 日本接着学会
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