2009 年 45 巻 3 号 p. 88-93
メルカプト基を含有するシランカップリング剤による球状シリカ粒子の表面処理を行い,単分子層以上の被覆層を形成させた粒子を作製した。シランカップリング剤は,アルコキシ基の数が2と3のものをもちい被覆量は単分子層被覆に必要なシランの量の約1倍から8倍の範囲で変化させた。アルコキシ基の数が2の場合のシラン鎖は直鎖状,3の場合はネットワーク状になるはずである。この表面処理シリカ粒子のパルスNMR測定を行い,表面の処理層のシラン分子鎖の易動性を評価した。その結果,パルスNMRの緩和時間はアルコキシ基の数が2の方が3の場合より長かった。アルコキシ基の数が2の場合は,被覆量の増加にともなって緩和時間が長くなったが,3の場合はこの影響がなかった。アルコキシ基の数が2の場合のシラン鎖はフレキシブルであり,鎖長とともにこれがより顕著になるのに対し,3の場合は被覆量にかかわらずリジッドであることが分った。