抄録
ハロゲンフリー難燃性FPC接着剤への展開を目的に,エポキシ/フェノキシ混合硬化物およびエポキシ/フェノキシ/CPP混合硬化物のモルフォロジーと特性に及ぼすフェノキシ配合率およびCPP配合率の影響を研究した。その結果,フェノキシ混合硬化系は,従前のNBR混合硬化系で問題となっている,Tgの低下および電気絶縁信頼性の低下をおのおの引き起こすことなく,フェノキシ配合率30wt%でピール強度および破断伸びを極大化できることがわかった。さらに,硬化物のモルフォロジーは,エポキシ硬化物リッチ相とフェノキシリッチ相が共連続構造を示した。したがって,前記の極大化は,高凝集力性のエポキシ硬化物リッチ相と高靭性なフェノキシリッチ相の各特性が良くバランスし,相乗効果を示した結果であると考えられる。一方,CPPは,配合率3wt%(リン含有率0.4wt%)という少量でVTM-0難燃性を付与でき,同配合率においては硬化物特性に悪影響を及ぼさないことも確認された。