抄録
皮膚表面温度付近において異なる貯蔵弾性率を有するアクリル系粘着剤の角質剥離機構について検討を行った。架橋剤添加量により貯蔵弾性率を変化させた4種類の粘着剤を用いて作製した粘着テープについて,その角質剥離機構を角質染色面積率測定とタンパク質定量により評価した。貯蔵弾性率が低い粘着剤ほど角質を均一に剥離することが可能であり,剥離量も多かった。これは粘着テープを貼付した皮膚の断面観察の結果から,貯蔵弾性率の低い粘着剤は皮膚表面凹凸によく追従して変形するとともに,皮膚自身も粘着剤に合わせて変形することに起因するものであると考えられる。一方,貯蔵弾性率の高い粘着剤はほとんど変形せず皮膚表面の凸部分とのみ接触し,皮膚の変形も小さかった。