抄録
既知の方法により合成したキサンテート基を有するポリシルセスキオキサン(XaPSQ)をマクロ開始剤として用い,4-アクリロイルモルホリン(ACMO)とアクリル酸n-ブチル(BA)とのブロック共重合体の合成に適用し,モノマーユニットのシークエンスの異なるグラフト化ポリシルセスキオキサンを合成した。XaPSQからのグラフト重合は,可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)/MADIX法の適用により,架橋反応による副生成物を伴うことなく効果的に進行した。得られたグラフト化ポリシルセスキオキサンの粘着特性について評価したところ,ACMOとBAとを重合したグラフト化ポリシルセスキオキサンの粘着力は,ポリエチレンおよびポリ(メタクリル酸メチル)と比較して,ステンレスおよびガラスに対してより高い粘着力を示した。また保持力は,ACMOとBAとのブロック共重合体を導入したグラフト化ポリシルセスキオキサンにおいて,40℃および80℃の条件でほぼ同じ挙動を示した。