日本接着学会誌
Online ISSN : 2187-4816
Print ISSN : 0916-4812
ISSN-L : 0916-4812
研究論文
スピンースピン緩和スペクトルによる架橋天然ゴムの解析
岩蕗 仁日笠 茂樹
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 48 巻 4 号 p. 121-126

詳細
抄録
イオウあるいはパーオキサイドによって架橋した天然ゴム(NR)の高次椛造,およびカーボンブラック(CB)の充てんによる構造変化をパルス法 NMR によって評価した。プロトンのスピン-スピン緩和の減衰曲線 M(t) を,ガウス型の減衰の重ね合わせとみなし,計算プログラムによって緩和スペクトルを求め,構造を解析した。重水素化トルエンによって膨潤させた試料のパルスNMR測定を行うことで,構造の差を明瞭にとらえることができた。パーオキサイド架橋したNRは,イオウによって架橋したNRに比べて分子運動が活発な欠陥成分が多いため,引張強度が低くなると推測された。CB充てんによる力学物性の向上は,パーオキサイド架橋系で顕著に見られた。CB充てんによるパーオキサイド架橋 NR の緩和スペクトルの変化は,欠陥成分の減少として現れた。CB充てんによってスペクトルの形状はイオウ架橋NRに近づ〈ことが明らかとなった.
著者関連情報
© 2012 一般社団法人 日本接着学会
前の記事 次の記事
feedback
Top