接着剤からの新規VOC放散試験法として,けい酸カルシウム板を供試接着剤にて積層接着した試験体を用い,小形チャンバー法 (JIS A 1901)による測定法が日本接着剤工業会で開発されている。本研究では3V0C (トルエン, m一キシレン,エチルベンゼン)を微量添加したエポキシ樹脂接着剤,エチレン酢ビ共重合接着剤を用いて,木質材料(MDF, PB, PW)貼り合わせ試験体を作製しVOC放散測定を行なった。その結果,接着剤の種類,被着材の性質によりVOC放散挙動が異なることが明らかとなった。MDFやPBは材料内部に多数の空隙を持つためVOCが透過しやすく,測定1日目の放散速度は高いがその後急激に減衰する。また,比較として用いたCSBではMDFと同様のVOC放散傾向が見られた。一方,合板は接着層がVOC透過の妨げとなりVOC放散は緩やかだった。
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