2013 年 49 巻 1 号 p. 4-10
グリシドキシ基あるいはアミノ基を含有し,アルコキシ基の数が2と3のシランカップリング剤で球状シリカ粒子の表面処理を行い,多分子被覆層のシラン分子鎖の運動性を1Hパルス核磁気共鳴(パルスNMR)で評価した。パルスNMR測定の結果,グリシドキシ基では処理後の加熱温度が120℃の場合,アルコキシ基の数が2,3ともにシラン鎖はリジッドであった。赤外分光分析から加熱でエポキシ基の開環が起こり,アルコキシ基による網目形成反応に関与している可能性が示された。加熱温度80℃では,アルコキシ基の数が2の場合はシラン鎖がフレキシブルであった。アミノ基の場合も,アルコキシ基の数が2,3ともにシラン鎖はリジッドであった。アミノ基とシリカ表面のシラノール基との水素結合の影響と考えられる。また,アルコキシ基の数が2より3の方がわずかに緩和がゆるやかであった。熱重量分析から,アルコキシ基の数が3の場合は,2の場合より吸着水がシラン処理層により多く残存しており,これが影響したものと推定した。