2013 年 49 巻 3 号 p. 76-81
粘着テープにおけるタックの接触時間にともなう上昇性に影響する因子を明らかにしようとした。このためにベースポリマーにアクリル酸を5mol%含むアクリル酸ブチル-アクリル酸ランダム共重合体を用い,添加する架橋剤の量を変化させた。プローブタック試験により,2種類の剥離速度でタックと破壊エネルギー(接着仕事)の接触時間依存性を測定した。剥離速度10mm/sの場合,タックは接触時間にともなって上昇し,架橋剤濃度にともなって低下した。また,接触時間にともなう上昇の程度は,架橋剤濃度にともなって低下した。破壊エネルギーも同様であった。これに対して1mm/sの場合は,傾向が大きく異なった。タックの上昇性は,架橋の程度およびタックへの界面の密着性と凝集力の相対的な寄与度の違いに大きく影響を受けることが分った。また,タック特性を考察するのに,種々の剥離速度におけるタックと破壊エネルギーの関係を比較することが有益であった。