2014 年 50 巻 4 号 p. 115-122
多層カーボンナノチューブ(MWCNT)をウレタン系およびアクリル系軟質ポリマーに溶液状態で混合・キャストすることにより約20種類のコンポジットを作製し,MWCNT分散状態,導電性およびポリマーの表面自由エネルギーの関係を調べた。ポリマーの表面自由エネルギーの分散成分(γsd)がMWCNTの分散性とコンポジットの導電性に大きく関与することが分かった。MWCNTとポリマーのγsdとの差が大きな試料では,コンポジット中でのMWCNTの分散性は低く大きな凝集体が存在する一方で,抵抗率は低くなった。これに対しMWCNTと近いγsdを有するポリマーでは,相対的に分散性は良好であるが,抵抗率は大きくなる傾向を示した。以上の結果より,γsdの差が大きい場合には,ポリマーとMWCNT間の相互作用が小さく,コンポジット中でMWCNT同士が凝集・連結し,導電性の高いコンポジットが得られることが示唆された。