日本接着学会誌
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研究論文
シランカップリング剤処理層中の物理吸着分子の熱重量分析による定量
中村 吉伸山﨑 諒太下嶋 康平嘉流 望藤井 秀司
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2015 年 51 巻 2 号 p. 42-48

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抄録

3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランの重縮合反応あるいはシリカ粒子表面との反応による耐熱性の向上について,熱重量(TG)分析による重量減少カーブの比較から検討した。重縮合体の50%重量減少する温度は,シラン分子単独のそれと比較して著しく上昇した。表面処理したシリカ粒子のTGカーブは,100-150℃(第1段),150-250℃(第2段),250-350℃(第3段)の3段階の重量減少が起こっていた。処理後の加熱により第1段の減少が減り,第2,3段の減少が増加した。特に第3段の減少量の増加が顕著であった。第1~3段の減少は,それぞれ物理吸着したモノマー状のシラン分子,物理吸着した重縮合体のシラン分子,化学吸着したシラン分子と考察した。未洗浄の処理シリカ粒子のTGカーブから定量した物理吸着分子の割合は,処理シリカ粒子の洗浄前後のTG分析による重量減少から定量した値とよい一致を示した。未洗浄の処理シリカ粒子のTGカーブから,物理吸着分子の存在割合を定量することが可能なことが分った。

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© 2015 一般社団法人 日本接着学会
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