日本接着学会誌
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技術論文
非相溶ポリマーブレンドのモデル系のパルスNMR による界面層厚さの解析
中村 吉伸松本 卓也宮崎 謙一堤 亮太野田 昌代高倉 和希藤井 秀司藤原 和子日笠 茂樹佐々木 眞利子
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2017 年 53 巻 6 号 p. 202-209

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抄録

非相溶ポリマーブレンドのモデルとして,シード乳化重合法で作製した架橋度の異なるポリメタクリル酸n-ブチル( PBMA) 粒子を分散させたポリ塩化ビニル( PVC) を作製した。すべての架橋PBMA粒子の平均粒子径は0.9 μm であった。PBMA とPVC は相溶するが,粒子中の架橋点により両ポリマーの相互拡散は界面層に限定される。動的粘弾性測定や破断表面の走査型顕微鏡観察から,この系にはPVC連続相( A),PBMA( B),架橋に分子運動が抑制されたPBMA( C),およびPVCとPBMA分子の相互拡散による界面層( D) の4つの相が存在すると仮定した。1H パルス核磁気共鳴法で各相のプロトン比を測定した。B,C およびD がドメインを形成し,添加した平均粒子半径の0.45 μm との差を界面層の厚さと考え,プロトン比からこれを計算した。その結果,界面層の厚さは17 から98 nm の範囲であり,粒子中の架橋度の低下にともなってより厚くなった。これは,非相溶系ポリマーブレンドの界面層の厚さとして報告されている値の約10 倍であった。粒子中の架橋により相互拡散が抑制されているが,PBMA とPVC が相溶系のためであると考えられる。

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© 2017 一般社団法人 日本接着学会
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