日本接着学会誌
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研究論文
粘着剤組成物の力学的性質の研究第2 報 アクリル系粘着剤分子量分布の力学的性質に及ぼす影響の研究
浦濱 圭彬中村 拓也長谷川 友希岡田 浩一松田 聡岸 肇
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2018 年 54 巻 1 号 p. 17-27

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抄録

分子量分布および分子量が異なるブチルアクリレート- アクリル酸共重合体を重合し,これらの共重合体がゲル分率および粘着剤の力学的性質に与える影響について研究した。その結果,低架橋剤濃度でのゲル生成開始に分子量分布( PDI) が大きく寄与していることが明らかとなった。このPDIは高架橋剤濃度でのゲル分率の飽和にも関係している。クリープコンプライアンスは,その時間までの粘着剤の流動もしくは変形を表しており,粘着強さやタックの接触時間変化に関係している。このクリープコンプライアンスの時間変化( 変形の時間依存性) にも,PDI が大きく寄与していることも明らかとなった。クリープコンプライアンスや遅延スペクトルを用いた粘着剤の力学的性質の研究は粘着テープ特性の解析に大きく寄与すると思われる。

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© 2018 一般社団法人 日本接着学会
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