日本接着学会誌
Online ISSN : 2187-4816
Print ISSN : 0916-4812
ISSN-L : 0916-4812
研究論文
イミダゾール類をインターカレートしたα-リン酸ジルコニウムを熱潜在性触媒として用いるエポキシ-チオール系硬化反応
下村 修福島 麻緒大西 海西迫 孝俊桐野 学大高 敦野村 良紀
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 55 巻 6 号 p. 230-235

詳細
抄録

チオールとエポキシの硬化反応において,イミダゾール類をインターカレートしたα -リン酸ジルコニウム( α-ZrP) の熱潜在性触媒としての利用を評価するためpentaerythritol tetra( 3-mercaptopropionate)( PETMP)とglycidyl phenyl ether( GPE) の反応にimidazole( α-ZrP·Im), 2-methylimidazole( α-ZrP·2MIm) および2-ethyl-4-methylimidazole( α-ZrP·2E4MIm) を触媒として反応温度と転化率の関係を検討した。80℃,1時間の加熱条件では,いずれの触媒を用いた場合も転化率は10%以下であった。さらに,100℃まで温度を上昇すると,α-ZrP·2MIm,α-ZrP·2E4MIm を用いた場合,転化率は96%以上となった。α-ZrP·Im においても120℃まで温度を上昇させると,1時間で94%の転化率を示した。PETMPとGPEの反応において,3種の触媒( α-ZrP·Ims)を添加した時の貯蔵安定性を評価した。その結果,いずれの触媒も40℃で3 日間まで反応が進行せず,4 日目でα-ZrP·2MIm が54%,α-ZrP·2E4MIm が66% の転化率を示した。40℃における貯蔵安定性はα-ZrP·Im>α-ZrP·2MIm≧α-ZrP·2E4MImとなった。PETMPと2官能性エポキシである2,2-bis( 4-hydroxyphenyl) propanediglycidyl ether (DGEBA) の反応にα-ZrP·Ims を触媒として用い反応挙動をDSC で評価した。これらイミダゾール類をインターカレートしたα-ZrP はエポキシ-チオール系の反応に熱潜在性触媒として利用できることが分かった。

著者関連情報
© 2019 一般社団法人 日本接着学会
前の記事 次の記事
feedback
Top