日本接着学会誌
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研究論文
粘着剤組成物の力学的性質の研究第3 報アクリル系粘着剤分子量分布が架橋形態に及ぼす影響
浦濱 圭彬長谷川 友希村田 順平岸  肇
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2020 年 56 巻 1 号 p. 4-11

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抄録

分子量と分子量分布( PDI) が異なるアクリル酸ブチル- アクリル酸共重合体を重合し,ゲル分率,膨潤度,ゾルの分子量分布に及ぼす架橋度の影響を研究した。PDI が低架橋剤濃度でのゲル生成開始に大きく寄与することが明らかとなった。 PDI は高架橋剤濃度でのゲル分率の飽和にも関係していた。ゲル分率と膨潤度は同時測定でき,同程度のゲル分率であっても,膨潤度は原料共重合体のPDI に大きく依存していることがわかった。また,ゾルの分子量分布を測定した結果,低架橋剤当量組成( すなわち,0.001当量および0.002当量) のゾル中に分子量100 万以上の分布の増加が認められ,同時に低分子量域の分布は減少した。このことは架橋剤により共重合体が最初に二量化して高分子量ポリマーを与え,次いで架橋の形成( ゲル形成) が起こったことを意味する。

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© 2020 一般社団法人 日本接着学会
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