日本接着学会誌
Online ISSN : 2187-4816
Print ISSN : 0916-4812
ISSN-L : 0916-4812
研究論文
相溶化材の添加がLLDPE/PA6 ポリマーブレンドの 力学特性に与える影響
日笠 茂樹
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 56 巻 4 号 p. 117-124

詳細
抄録

ポリエチレン( PE) とポリアミド( PA) を含む積層フィルムが食品包装用に用いられている。しかし,この積層フィルムの溶融混練では相溶性に乏しいブレンド物が得られてしまうために,この積層フィルムのマテリアルリサイクルは十分に検討されていない。そこで,PE/PA 多層フィルム回収物のモデルとして LLDPE/PA6 ブレンドの力学特性と相溶化材である無水マレイン酸変性ポリプロピレン( MPP) の添加効果 について検討した。LLDPE 中に分散するPA6 粒子によって弾性率は向上し,衝撃強度は低下した。引張降伏応力は大きく変化しなかった。相溶化材としてのマレイン酸変性PP( MPP) の添加は,LLDPE 中に分散するPA6 粒子を微細化し,衝撃強度を顕著に向上させた。一方,MPP の添加は,弾性率や降伏強度をあまり変化させなかった。LLDPE/PA6 ブレンドへのMPP の添加は,高い衝撃強度と高い弾性率を両立させる優れた手法であった。

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本接着学会
前の記事 次の記事
feedback
Top