2021 年 57 巻 12 号 p. 464-478
ジシアンジアミドを硬化剤とする1 液硬化型用ポリウレタン変性エポキシ樹脂の合成をin-situ 法で行っ
た。第1 段反応として,ビスフェノールF 型エポキシ樹脂,ポリプロピレングリコールおよび4,4’-ジフェ
ニルメタンジイソシアネートを所定の組成比で仕込み,120 ℃で2 h 反応させてイソシアナート末端ウレタ
ンプレポリマーおよびエポキシ( n=1 体) 末端付加ポリウレタン混合物を得た。続いて第 2 段反応として,
鎖延長剤に1,4-ブタンジオールを用いて120 ℃で2 h ポリウレタン鎖延長反応を行い,ハードセグメント:
ソフトセグメント:エポキシ末端付加セグメント比率の異なる16 種類のポリウレタン変性エポキシ樹脂
を合成した。これらのポリウレタン変性エポキシ樹脂に,ポリウレタン濃度調整用のビスフェノールF 型
エポキシ樹脂の必要量をさらに加え,硬化剤のジシアンジアミドおよび硬化促進剤の2,4-ジアミノ-6-[2’-
メチルイミダゾリル-(1’)]- エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加塩とシアヌル酸の混合物を,添加し
て1 液型樹脂組成物を調製した。硬化は,120 ℃で45 分のプレベークおよび150 ℃で45 分のポストべー
クで行った。これら硬化物の諸特性を検討した結果,ハードセグメント5.0 wt.%,ソフトセグメント42.3
wt.%,エポキシn=1 体末端付加セグメント52.7 wt.% およびポリウレタン濃度10.0 wt.% の硬化物は,破壊
靭性 1.87 MPa・m0.5,引張り破断伸度 7.2 %,引張り破断強度 67.6 MPa,引張り弾性率 2.2 GPa,Tg( DSC)
=133 ℃を示し,複合材・接着剤用の高破壊靭性,高強度,高可とう性,高耐熱性を有する硬化物に適して
いることを見出した。